五條楽園にある銭湯「サウナの梅湯」にある鏡広告をデザインしました。運営している宿泊複合施設 UNKNOWN KYOTO をアピールするための広告です。男湯の入り口から二番目の場所に一年間掲載されます。
鏡広告は昭和の時代から続くバナーだ
この鏡広告をデザインするにあたり、最初に梅湯さんを下見させていただいた。あまり見ることのない昼の光の無人の銭湯。(天窓?から入る光がいい感じなんです。)ずらりと並ぶ鏡。同じサイズで行儀よく埋め込まれた、やけに細長い長方形。
あれっ、この横長……見たことある……。しかも馴染みの深いもの……。あっ、そうだバナーだ。昭和の時代から続くバナーだ……!
「細長い広告」を見て、ついついそんなふうに思ってしまう。いまは宿泊施設のデザインをしてるけれど、根がIT企業マンなので……。
デジタルが存在しない場所
しかし鏡広告はインターネットの世界とは違う。なんせ銭湯だ。そこには自分の体しか存在しない。そして体を洗ってる十数分の間にどんなに広告の内容が気になろうとも、その場で調べることはできない。
こんなにもスマホがない状況、じっくりと見ることが前提とされているシュチュエーションが他にあるだろうか? 「昭和のバナー」と表現したが、デジタルありきで、ちらっと見るだけのバナーとは置かれている状況が正反対なのである。
鏡広告ならではの表現
この状況を踏まえて鏡広告のデザインを考えた。その場で調べることができないのであれば、脱衣所や屋外で広告のことを思い出して調べられるよう、カタカナで「アンノウンキョウト」とした。正式には「UNKNOWN KYOTO」なのだけれど、英語表記は音の響きとしては覚えづらいと思ったためだ。
また、近さを表現するために地図を入れているが、なかなかややこしい場所にあるので「地図アプリを見てね!」という一文を入れた。調べてくれるといいのだけれど……。
全体のテイストとしては、昔ながらの銭湯にある「近所のお店」の広告が好きなので、昭和っぽい手書き文字を取り入れた。ただ、唐揚げだけは写真にした。お風呂のあとの揚げ物(とビール)のシズルはイラストでは表現できないなと思ったので……。
憧れのあの場所に
思えば2015年くらいに梅湯のことが好きになって、大晦日に来たり、なんなら結婚式のあとにも来ている。最近は子どもがいる関係で全然行けていないけど、好きな場所に鏡広告が出せて本当によかったな。